肺魚飼育法




今まで勉強&経験によって覚えた肺魚の飼い方をまとめてみました。熱帯魚飼育の基本的なことを理解している方向けに書いてあります。

肺魚選択
現在、水槽で買える肺魚は、エチオピクス、アネクテンス、アンフィビウス、ドロイ、レピドシレンの5種類。どの肺魚がどんな特徴があるかは肺魚とはのページをご覧下さい。自分が好きな肺魚を悩みに悩んで選んで下さい。幼魚の入荷時期は春から夏にかけてアンフィビウス、夏の終わり頃にエチオピクス、秋にドロイ、冬にレピドシレンといった感じ。アネクテンスはあまり幼魚を見かけたことがないですが、エチオピクスと同時期であろうと推察されます。強い肺魚といえども幼魚は弱いです。自信のない方は少し大きくなった個体を選ぶのもよいと思います。ある程度大きくなった個体であれば、将来どんな模様のどんな色になるかを予想しやすいメリットもあります。手足が若干短くても、エチオピクス、アネクテンス、ドロイならすぐ復活します。アンフィビウスは完全には直らないかもしれないから注意が必要です。ただし、手足の先が欠けているというのは輸入状況やショップの管理が悪かったと言えると思います。できれば手足が綺麗な個体を購入することをお勧めします。尾ビレや背ヒレ(この2つは繋がっているけど)に大きな傷は直ると思いますが、将来そこだけ模様が変わってしまうことを知っておいてください。目の白濁もショップの水質管理がいまいちということです。避けた方が無難です。アンフィビウスは買ってきてすぐ死亡するといった話をたまに聞きました。皮膚の状態がおかしくないかよく観察してください。また頭だけ極端に大きい個体は、餌制限を長期間受け、慢性的な栄養失調になっている可能性があります。これも避けましょう。いろいろ書きましたが、どの肺魚を連れて帰るかは「出会い」で決まってしまうでしょう。水槽が用意してない場合は、連れて帰らずに売約済みにしてもらって、さっそく水槽設置に取りかかりましょう。

水槽
肺魚はすべて大型になります。一番小さなアンフィビウスでも最終的には90cm水槽は必要になってきます。アネクテンス、ドロイ、レピドシレンも90cmで飼えないことはないですが、120cm水槽の方が水量も多く飼いやすいでしょう。エチオピクスはどうやらあまり成長しないタイプと巨大化するタイプがいるようです。巨大化するタイプ(ビクトリアと呼ばれる薄褐色であまり模様がないタイプ)なら180cm水槽以上、そのほかのタイプは150cm水槽で飼えると思います。奥行きは標準サイズ(45cm)でもかまわいませんが、小さめの幅で飼う人は水量を増やすため奥行きを60cmのものにしたほうがよいでしょう。高さは水深を浅くしても上部濾過器が使えるように低い高さのものを使う人もいますが、肺魚の独特の上半身を立ててじっとしているポーズを見るためにも、また大きくなったときに蓋を開けないように(肺魚は後ろ足で立ちます)、なるべく高い高さの水槽を用意したいところです。厚みは120cm標準水槽なら8mm以上欲しいですね。材質は破損を防ぐためにアクリルにしましょう。ガラスだと割られてしまう可能性があります。稚魚は稚魚用飼育ケースで、幼魚のうちは60cm水槽で飼い、40〜50cmぐらいになったら上記の水槽に移してあげましょう。

濾過
肺魚は大変水を汚します。餌を食べるときに咀嚼するし、糞の量も多いです。そこで強力な濾過が必要になってきます。濾過方式は先輩諸氏の意見を聞くと、オーバーフロー式を用意できない場合は上部式がよいとのことです。理論的にもそう思います。なるべく容量の大きいものを買いましょう。幅、高さのあるやつ。もちろんオーバーフロー式が用意できればそれにこしたことはありません。ウールマットと濾材の間に置くパンチ穴が開いている板が付いているものの方が濾材の汚れ方が全然違ってよいそうです。底に掃除の時の水抜き用の穴が開いているものもメンテナンスがし易くてお勧めです。上面式に底面式を併せると強力な濾過が出来ます。パワーフィルターは肺魚飼育にはあまり向かないので、憧れで導入するのはお勧めできません。長いパイプの掃除も面倒です。肺魚は狭いところに潜ろうとすることがあります。どの濾過方式にしても、吸い込み口を肺魚に壊されない(外されない)工夫をしましょう。セパレーターで囲むとか、プラスチックパイプ部分をホースに替えるとか、いろいろ方法はあります。上部式のポンプは小さいサイズのものだと下から押し上げるとずれてしまうものがあります。そこから水の噴き出し等のないよう、ポンプを固定する工夫もしてください。ホースの接続箇所にはホースバンドを必ず付けましょう。濾材はシポラックスでもサブストラットでも大磯砂でも濾材として使えるものならなんでもよいと思います。値段が高いものだと量が減る傾向にあるので、安くても量を多くできる方がよいです。2割程度を珊瑚砂にすると強力な濾材になる上に、PHの低下を抑えられていいようです。底面式を使えば底砂も重要な濾材になります。ウールマットは安いものでよいですが、必ず水に浸かっている状態で使用してください。
アンフィビウスは水質の変化に弱いという話をよく聞きます。そこで濾過漕の掃除をしたときに極端にバクテリアが減らないように2つ濾過漕を設置しておいて、時間を空けて(1ヶ月とか2ヶ月とか)順々に濾過漕の掃除をするといいと思います。

用具
底砂
は敷いた方が水質が安定するのでお勧めでです。また蛍光灯の照り返しも低減できますし、肺魚の色もよくなりますし(たぶん)、また肺魚が呼吸時に転ぶのを防ぐ役目もあります。種類は肺魚の体を傷つけるような尖ったものでなければ好みでよいですが一番一般的な大磯砂がよいでしょう。底面式で使う場合は厚み5cmくらいは欲しいところです。底面式を使わない場合は薄く敷きましょう。しかし砂を食べてしまう個体もいるので(特にアンフィビウス)ベアタンクで飼わざるを得ない時もあります。
ヒーターは必要です。水槽の大きさに応じたワット数にしましょう。付きっぱなしになるようであればワット数が小さいと思ってください。適度なワット数が電気代節約にもなります。できれば空焚き防止になっているものがよいと思います。肺魚が暴れても水面からでない工夫をしてみてください(例:ガラス面に吸盤でくっつけない)。ヒーターカバーは必需品です。肺魚はボーとしているのでヒーターに乗っかっていて火傷する危険性があります。肺魚が小さい間は市販のものでよいですが、これだと肺魚が大きくなった時に強力なアゴで簡単に噛み砕いてしまうので、塩ビパイプ等で自作すると良いです。セパレーターでヒーターや濾過器の吸い込み口を守るといった方法もお勧めです。オーバーフロー濾過漕(上部濾過層も適度な空間があれば)の中にヒーターを設置する手もあります。ただしセパレーターに標準で付いてくる吸盤では肺魚には役不足です。改造してたくさん吸盤を付けて外されないようにしましょう。も必需品です。肺魚飼育で最も起きる事故は飛び出しです。隙間のないように蓋をしましょう。蓋もガラスの薄いものだと割られてしまう危険性があります。あまり売ってませんが塩ビやアクリルの蓋がお勧めです。蓋の上には重しを乗せてください。重しには砂袋がよく使われているようです。高価ですがアロワナ用の重しがいらない蓋(肺魚な水槽参照)もお勧めです。エアレーションは上部式で水面に排水を落としている場合、肺魚にとっては必要ありませんが、濾過器に住んでいるバクテリアのためにしたほうがいいと思います。濾過器内にエアレーションをするのもよいと思います(たぶん)。設置の際には水面より高いところに設置するか、逆流防止弁を付けた方が、停電の際に安心です(ポンプが止まると逆流してくることがある)。アクセサリー(流木や石)は肺魚が暴れても、体を傷つけないように角のないものにしてください。蛍光灯は1灯式でよいので設置しましょう。暗いと変な菌(嫌光性細菌)が繁殖したりするらしいです。温度計も設置してください。ただしガラス製のものは肺魚が大きくなったときに噛み割られてしまう危険性があります。本ではシール式の温度計を薦めていますが、これは水槽の外面に設置するものが多く、水槽本体の温度を測っています。ガラス製水槽であれば水温とほとんど同じ温度を示すと予想されますが、アクリル水槽を使っている場合は、正しい水温を測れません。そこでセパレーターで区切った場所やオーバーフロー濾過漕の中に温度計を設置するのが一番お奨めです。セパレーターもオーバーフロー濾過漕もない場合は噛み割ってもそれほど問題のないデジタル温度計(小さなセンサーのみを水槽内に設置する)がよいと思います。

ざっとここまでの設備を揃えると120cm水槽で10万円くらいでしょう。お金が無くても自作したりしてなるべく肺魚が幸せな生活を送れるようにしてください。

水槽立ち上げ
以下は私が考えた最適水槽立ち上げ法です。たぶん早く長持ちする濾過漕ができるはずです。一般的な水槽立ち上げ方法を勉強した後、こっちの方が良さそうだなと思ったら試してみてください。水槽や濾過設備を買ってきても、すぐ肺魚を入れてはいけません。濾過漕が立ち上げるまで1ヶ月近くかかります。まずすべてのものを洗剤を使わずにきれいに洗います。その後、全部セッティングし、水を入れた後、濾過漕を作動させます。市販バクテリアは子供を作れないように改良されているらしいので、水換えの際に永遠と入れなくてはいけません。よって必要ありません。緊急用のもの(すでに魚を買ってきてしまったとか)と思ってください。自分の部屋の空気中に住んでいるバクテリアを繁殖させる方法が理想的です。水槽内にアンモニアが発生しないといくら経ってもバクテリアは繁殖しないので、餌金(餌用金魚)を買ってきて水槽に入れます。金魚は強いので、立ち上げ直後の水でもかなりの確率で生き残ってくれるでしょう。金魚が出すアンモニアでバクテリアを繁殖させます。ここでアンモニアを取り除くとバクテリアの繁殖が遅れるので水換えはしません。濾過漕が立ち上がったときに目安は、亜硝酸濃度です。亜硝酸測定薬を買っておきます。1週間おきに測定して(最初は存在せず、だんだん上がっていって、その後下がっていくはずです)、問題ないという判定が出たら水槽は完成です。念のため、PHも測ってみましょう。PH6.5〜7.0ぐらいになっているはずです。そうしましたら1/4〜1/3ほど水換えをしてから肺魚を入れましょう。もちろん温度合わせ、水質合わせは忘れずに。更に早く水槽を立ち上げるには、既に立ち上がっている水槽の濾材や飼育水を入れると効果的です。


肺魚は肉食性雑食です。何でも食べると言いたいところですが、そうもいかないようで、いろいろ困っている話も聞きます。基本的には10cm以下の稚魚には、イトメや人工沈降飼料を細かくわったものをあげます。幼魚のうちはナマズ用沈降餌が基本になるでしょう。慣れてくると浮上餌も食べるようになります。底砂を餌と一緒に食べてしまう個体には浮上餌がお勧めです。大きくなった個体には鯉の餌をあげている人が多いようです。人工飼料をあげる場合、噂によると肺魚は他の魚より味を感じることができるらしいので、飽きないようにいろいろな餌をあげたいところです。また人工飼料だけでなく、たまには生き餌を与えると腸の働きが良くなると聞きました。生き餌を与えるときに病気を持ち込まないように注意したいです。小さい頃はアカヒレやメダカ、大きくなってくると金魚やドジョウ。エビ類を食べる個体もいます(食べない個体もいます)。自然界では貝類が主食らしいのでタニシなんかも食べます。とにかくいろいろな餌をあげるのがよいようです。あげてはいけない餌として、コリドラス、釣り餌用ミミズがあります。コリドラスは鱗が硬く、口や内臓に刺さる危険性がある上、毒を持っています。釣り餌用ミミズは消毒薬に浸かっているので餌としては危険です。畑にいるミミズも農薬が含まれている可能性があるので注意が必要です。また獣肉やドッグフード、キャットフードも脂肪分が多く、常用するのはやめましょう。あげる量ですが、これまた難しい問題です。「肺魚の様子を見ながら、適度な量を」と言ってもそんなことことわからないというのが現実なので、1日1回夜に残さない程度あげてください。だいたい頭の大きさ(その肺魚の)ぐらいを目安にしてください。そのうち適度な量がわかってくると思います。餌のあげすぎは肥満、短命の原因になりますので注意しましょう。

メンテナンス
前述のように肺魚は水を汚します。いくら強力な濾過システムを構築しても1週間から10日でかなり水が汚れてしまいます。「肺魚は強い」らしいのですが、水が汚れて過ぎると目の白濁し、手足、ヒレが解けだしてきます。糞が水槽内に落ちているのを発見したらスポイト等によって取り除いておきましょう。餌の食べ残しも同様です。トイレに流してしまえばいいでしょう。水換えは1/4〜1/3を1週間から10日を目安に行いましょう。カルキ抜き、温度合わせは忘れずに行ってください。底砂を敷いている場合、砂がかなり汚れているはずなので重点的に掃除しましょう。水換えには便利な道具がたくさんあります。お小遣いの許す限り便利な道具を揃えて、水換えを楽にして、なるべくサボらないようにしましょう。アンフィビウスは水質の変化に弱いです。少量の水換えを普通より頻度を上げて行うのが理想的と考えます。濾過漕の掃除はくれぐれも繁殖したバクテリアを殺さないように、注意してください。水換えの際には噛まれないようにくれぐれも注意してください。大きくなった個体に噛まれると酷い怪我をします。

その他
肺魚を飼い始めて最初に悩むのは水深です。「深いと空気呼吸が出来ないのではないか」「溺れるのではないだろうか」「水圧で肺が発達しないのでないだろうか」と考えてしまいます。どうやら水深は上部に呼吸するスペースさえあれば大丈夫なようですが、泳ぎの下手な個体(浅い水深で飼われていた個体)は溺れる可能性があるので様子を見ながら深くしていけばよいと思います。さきほど述べた飛び出し事故を防ぐためにも、上から5cmぐらいは少なくとも空けておきたいところです。混泳はできないと思っておいてください。たまたまうまくいっていても、いつか事故が起きるかもしれないません。肺魚に食べられてもいい魚を入れるくらいにしておきましょう。水温のことを忘れていました。本には20℃〜35℃ぐらいまで平気であると書かれているのを読んだことがありますが、25〜30℃くらいにしてあげてください。暑さにはある程度強いようですが、夏は温度を下げる工夫(蛍光灯を上に設置する、クーラー等)をしてあげてください。事故を減らすためにも必要のない時(夏)はヒーターは除去しておいた方がいいと思います。

一応私の知識を駆使して書いてみました。まだ足りないところもありますが、基本的にはこんな感じです。更なる疑問点は、掲示板やメールでご質問下さい。




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