肺魚とは



肺魚の3大特徴
「ハイギョ」と表記されることもありますが、肺魚とはその字そのままに、肺呼吸をする魚です。浮き袋が進化して1対の肺となっています。その構造はもはや浮き袋とは言えないほど酸素を体内にを取り入れるのに適した構造になっています。他にも水面に口を出して、呼吸をする魚はたくさんいますが、もっとも肺が進化した魚と言えるでしょう。幼魚の時には大きく存在する鰓も成魚になると退化し、肺呼吸が出来ないと(水面に顔を出せないと)死んでいまいます。この肺呼吸をしに水面まで上がる姿が堪らない魅力です。空気を吸った後、ふわ〜とバランスを崩して変な体勢で底まで降りてくる様子を見たらあなたも肺魚の虜になること間違い無しです。肺魚はこの肺呼吸能力を利用して古代から生き残ってきました。現地では乾期に水が干上がってしまうところもあるのですが、肺魚は土の中に潜って夏眠することによって、生きていくことが出来ます。

外見の特徴ですが、胸ビレ、尻ビレが鞭(ムチ)状になっているのが他の魚にないところです。このヒレをホント手足のように使うのです。もちろん物をつかんだりはしませんが、底面を歩く、餌を探す、振り回して泳ぐ等々、とても魚には見えません。もうすぐ指が生えて両生類に進化する寸前といった感じです。このホームページでは胸ビレのことを手、尻ビレのことを足と呼んでいます。この手は味覚を感じることが出来るそうで、食事の時に上下に振りながら、餌を探します。

食事の取り方、そしてこれが肺魚を飼ったことがある人ではないと見ることが出来ない第3の特徴です。肺魚は胃が無く、消化を助けるために大変ものを良く噛んで食べます。目が凹むぐら一生懸命モグモグ噛みます。噛むだけならいいのですが、なぜかそれを粘り気のある唾液で包んで(混ぜて)にゅぅーと口から出すのです。そしてまたヒュゥと吸い込んでモグモグやります。硬い餌などはなんどもそれを繰り返して食べるのです。「マナーが悪い!」という人もおりますが、私は最高に可愛い瞬間だと思っております。

肺魚の種類
肺魚は現在ユーラシア大陸を除くすべての大陸に生息しています。アフリカに4種類、南アメリカに1種類、オーストラリアに1種類います。オーストラリアにいる肺魚ネオケラトドスは個人で飼うことは禁止されているので我々が飼うことが出来る肺魚は5種類という事になります。

アフリカ肺魚
プロトプテルス・エチオピクス Protopterus athiopicus 最も大型になります。最大で2mほどと言われています。水槽内でも1mを超えることがよくあります。個体によっては150〜180cm水槽が必要になってきます。茶褐色で、あまり模様のないビクトリアと呼ばれるタイプが大型になるそうです。手足が最も長く、私見ですが華麗な感じがします。白っぽい地色に黒っぽい亀甲模様のある個体が美しく、人気があります。口先が上方に反ったり、背ビレが高くなったりする個体もいます。基亜種であるP.エチオピクス・エチオピクスの他P.エチオピクス・コンギクス、P.エチオピクス・メスメケルシーという亜種がいます。

プロトプテルス・アネクテンス Protopterus annectens アフリカに広く分布し(北西部から中南部)、模様や色の個体差が激しいです。右の写真のような模様のたくさんある個体もいれば、全く模様のない個体もいます。体型はエチオピクスそっくりで、区別するのにちょっと慣れが必要です。手足の長さがエチオピクスより短く、模様が違います。顔も違います。 全長は60〜80cmぐらいで、120cm水槽や90cm水槽でも飼えます。肺魚らしい肺魚が欲しいけど、エチオピクスは大きくなりすぎるという方にはお奨めです。基亜種のP.アネクテンス・アネクテンスの他、P.アネクテンス・ブルエニーという亜種がいて、この種類は大変美しい模様があります。一見するとエチオピクスに見える模様と長い手足が特徴です。

プロトプテルス・アンフィビウス Protopterus amphibius 肺魚の中で最も小型です。体型はずんぐりしていて、手に付いているヒレ状のものが幅広く特徴的です。黒っぽく、細かい斑点の入る個体や、赤茶色の個体、灰色の個体などがいます。頭が角張ってくる個体もいます。外鰓は成魚になっても残ります。全長は大きくなっても60cmぐらいにしかなりません。40cmに届かない個体もいるでしょう。トゥルカナ湖、ザベンジ川に生息しています。大きさ・仕草から人気が高く、初夏にしか入荷しないため、肺魚の中で最も高価です。10cmぐらいの幼魚で20000〜25000円ぐらいします。 とても活発で1日中泳いでいます。 他の肺魚に比べて皮膚が弱く、水質の悪化や急変によって体調を崩すことがあります。ヒレの再生能力も低く、切れてしまうと元に戻らないこともあります。

プロトプテルス・ドロイ Protopterus dolloi 細長い体をしています。目が小さく、頭が丸く、非常にかわいいです。模様は茶褐色で、黒い斑点がある個体もいます。80cmほどになりますが、成長がゆっくりで長い間小さな水槽でも飼えます。最終的に90cm水槽であれば大丈夫だと思います。臆病な個体もいて、昼間は物陰に隠れていることも多いです。食が細く、なかなか咀嚼シーンが見られないことで有名です。性格は大人しく、水草を引き抜いたりしません。うちのビッキーがこのドロイです。入荷時期になるとマッチ棒ほどの幼魚が1000円前後で売られます。綺麗なアルビノもたまに入荷します。ザイールに生息しています。

アメリカ肺魚

レピドシレン・パラドクサ Lepidosiren paradoxa 南アメリカ(アマゾン全域、ボリビア、パラグアイ川)に住む肺魚で。P.ドロイに似て、胴長ですが、手足が非常に短いので区別することが出来ます。最も肺が進化しています。小さいうちに外鰓は消失します。幼魚の頃は黒地に黄色い斑点がありますが、大きくなるにつれて消えていきます。肺魚の中でも最も大人しく、同種の混泳が可能といわれています。1mになります。地味なせいか人気はいまいちのようですが顔が非常に可愛く、魅力的な肺魚です。


オーストラリア肺魚

ネオケラトドゥス Neoceratodus forsteri オーストラリアに生息する肺魚ですが、肺はあまり発達していません。サイテス2に指定され、国際的な商業取引が規制されています。更にオーストラリア政府の手厚い保護により、国外持ち出しは禁止されています。つまり我々が飼うことの出来ない肺魚です。ショップで見かけるものはすべて密輸されたものです。鱗が大きく、肉厚の胸ビレ、尻ビレがあり、他の肺魚とは違う形態をしています。上野動物園、油壺マリンパーク、須磨水族館等でみることが出来ます。
追記:2002年にネオケラの正規輸入が始まりました。輸出証明書が付き、魚体にはマイクロチップが埋め込まれています。寿命100年とか体長2mになるとか言われています。飼育法はこれから確立されていくでしょうが、プロトプテルス同様何でもよく食べ飼いやすいようです。欠損した手足も栄えてくるとの情報があります。

 



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